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2005年版
過去に観た映画の思い出を
語っております。
映画館で見逃した映画を
語っております

以後の完全個人的映画短評は随時 我侭勝手日記 に掲載していきます。

コーラス

古くはビング・クロスビーの名作「我が道を往く」近頃では「陽のあたる教室」「ミュージック・オブ・ハート」はたまた「天使にラブソングを」、音楽がいかに人にパワーを与え心を動かすかを描いた作品は数多い。歳をとって疑り深くなってしまったおじさんは、この「そのまんまやないか!」のタイトルに、それらのハリウッド作品の二番せんじでつくられた中身のうすいフランス映画だったらどうしよう、と心配しながら観たのであった。
しかし杞憂でした。全くの杞憂でありました。いや〜、久しぶりの良い映画だったねぇ。
音楽教師マチュー役のジェラール・ジュニョの熱演をはじめ、まわりを固めるフランスの名優たちの好演がこの映画を支えているのは確かだが、映画としての構成力がなかなか良いのだ。はげ頭で小男のマチューのあまりにはかない恋などを織り込みながら少年たちの説得力のある合唱にのって展開していく物語がこの作品を同ジャンルのものとはひと味ちがった素敵な作品にしていた。
話題になった主役ジャン=バチスト・モニエ君のボーイソプラノの美しさもさることながら彼の憂いをふくんだ青い目が哀しい。そしてこの映画の重要なポイントでもあるペピノは、帰らぬ父を土曜日の朝に門のところで待っているちっちゃな子、周りの少年たちと比べて格段に幼い。そのラストシーンにおじさんはまたも不覚の涙をこぼすのでありました。

宇宙戦争

原作がH.G.ウェルズの傑作古典SFであり、53年にジーン・バリー主演で映画化されたもののリメイクであるということを知らない人がこの映画を見れば「なんでこれが宇宙戦争なの?」と疑問に思うことだろう。原題は WAR OF THE WORLDS 、宇宙が舞台じゃないからねぇ。
スピルバーグ監督は「スター・ウォーズ エピソード3」の対抗馬にするつもりじゃないと言ってるみたいだけど、世界一斉同時公開、ほとんど形を見せない予告編はそのあたりを十分意識していると思うよ。
確かに観せ方はうまい。さすがです。全編考えに考えぬかれたシーンの連続は丁寧なつくりですが、その分、こういう映画にはつきものの矛盾点ばかりが目立つ結果となってしまった。
トム・クルーズ演じるダメ父親とその家族(まわりがバタバタやられてるのに危機一髪のところで必ず助かる)の愛と絆の物語も薄っぺらで入りこめません。
まぁ、でも、ご都合主義なところに目をつぶって観れば娯楽映画として十分楽しめます。

バットマン
ビギンズ

なんという豪華脇役陣!渡辺謙はさておくとしても、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ゲイリー・オールドマン、ルトガー・ハウアーにモーガン・フリーマンまで出てるんだぜ。その存在感のすごさに主役のクリスチャン・ベイルと紅一点ケイティ・ホームズの若手二人が霞んでしまったのもいたしかたありません。ことにバットマンに仕える執事役のマイケル・ケイン、ほんとにちょっとした動き、表情の変化で多くを語ってしまう演技は完全にバットマンを食っておりましたよ。
今回のバットマンはどちらかというと大人向け。小学生以下にはちょっと退屈かも知れない。
大富豪ブルース・ウエィンがゴッサムシティーに巣食う悪に立ち向かう正義の存在バットマンになっていくまでの過程が明らかにされるわけなのだが、ストーリーそのものはよくあるパターン。あまり意外性がないが、真面目な作り方は好感が持てる。
うーん、やっぱり主役のバットマンにはそれなりの人を起用してほしかったなぁ。

サイドウェイ

予告編なんかではなんとなく女性向けの映画なのかな、と思っていたのだが、実際観ればこれは男の映画だということが分かる。あきらめが悪い、性懲りも無い、いい年になっても悟らない・・・この映画の主人公ふたりにはいっしょに観たうちの奥さんは怒り呆れておりました。でも、同じ男としておじさんはなんだか身にしみてよく分かっちゃう部分があるんだよねぇ。
アメリカのイメージは高層ビルの大都会か遠くに岩山が見える大平原かのどっちか!みたいな感じがあるが、この映画に出てくるカリフォルニアワインの産地の田舎町がなかなか良い。陽光と風のそよぎがいかにも柔らかで素敵な風景でした。
アカデミー助演女優賞にもノミネートされたヴァージニア・マドセン(なかなかの好演)がワインを人生になぞらえて言うセリフ、
「熟成したワインもピークを過ぎれば坂を下るように味が落ちていく。でもその坂をおりる味わいも捨てがたいものよ」
(ああっ!そ、そうだよねぇ・・・)おじさんの胸にヒタヒタと染みわたるのでありました。

フォーガットン

もしもあなたの見聞きすることや体験が自分の妄想で自分がそれに気づいていないのだとしたら、そして妄想の霧が少しづつ晴れて自分の信じていたことが次々と崩れていくとしたら?
ジュリアン・ムーア演ずる飛行機事故で亡くした子を忘れられない母親、つい昨日まで目にしていたアルバムの写真やビデオが真っ白になっている。知人や夫までがはじめから子供なんていなかったのだと言う。そんなはずはない、これにはなにか謎があるはず。妄想ではないことを証明しなくては・・・。
おお、なんとそそられるシチュエーションではないか。きっと想像を絶する謎解きがあるはず、とけっこう楽しみに観にいったのですが・・・・・
前半はね、そういうわけでドキドキの展開なのね。だけどオチがわかっちゃうとその後はもうテンションがどんどん下がっちゃうんだよなぁ。
要するに「みだりに使用するべからずオチ」なんだな、これが。

ザ インター
プリター

抑制のきいた大人のサスペンス!派手派手映画が多い昨今、このポリティカル・サスペンスは確かに地味だ。しかし、映画全体を覆う落ち着いたトーン、濃い霧の中からゆっくりと姿をあらわしてくる真相、おじさんは気にいりました。
もちろんハリウッドを代表するふたり、ショーン・ペンとニコル・キッドマンの競演が話題のこの映画、やはり抑え気味ではあるものの両者の迫真の演技のぶつかり合いが、見せ場の連続だけで作られた普通のサスペンスとは一味ちがうものにしているのでありました。
モノトーンのパンツルックがよく似合うニコル、背が高いうえに顔がちっちぇ〜!八頭身どころか十二頭身ぐらいに見える。顔もスタイルも美しい人だが、なにげないシーンでふっと見せる少女のようなあどけない表情がいいねぇ。目がきついような気がして前はあまり好きな女優さんではなかったのですが、おじさんちょっと惚れちまったかもしれません!

ハイド アンド
シーク

予告編などでこの映画が近頃はやりの気味悪こどもがでてくるオカルトホラーと勘違いした人も多いかもなぁ。そっち系ファンは肩透かしを食います。押しも押されぬ大御所ロバート・デ・ニーロと、今では天才子役というより演技派女優といっても過言ではないダコタ・ファニングの共演はやっぱりただごとじゃない。どちらかというと本格ミステリー・サスペンスに属する重厚な作品なのであった。
前半で提示される数々の伏線と観客を迷わせる巧みなミスディレクションから導かれる後半に用意されたあまりに衝撃的なサプライズ!当然「決して人には話さないでください」型映画なのです。むろんこういう映画は反則技ギリギリのところで綱渡りなので「うん?」と首をかしげたくなるところもないではない。しかし、観る者をぐいぐいと引き込むふたりの芸達者の熱演で騙される快感を十分に味わえます。

ナショナル
トレジャー

トップ先進国アメリカの歴史・伝統コンプレックス映画ではないでしょうか。
ヨーロッパなどの重厚な歴史を羨ましいと思っているんだなぁ、アメリカは!
世界中の秘宝は実はアメリカにあったのだ!というのがまず無理矢理だもんで、そこにたどり着くプロセスも無理に無理が重なっちゃってる。スピード感だけが命の映画になってしまった。暗号・謎が次々と解かれて大団円に突進していくパターンなのだが「いや、それはちょっと・・・」とこっちが考えているスキに次のシーンへいっちゃうという意味ではなかなか巧みな映画ではある。
すっごく頭のきれる主人公を演じたニコラス・ケイジ、あいかわらず顔がまのびして見えるのでちぐはぐ。「月の輝く夜に」の燃えてる感じはどこへいってしまったんだ。
相手役の女性歴史学者はダイアン・クルーガー、可愛い過ぎてとても博士には見えないが、あんまり可愛いので許す!

ローレライ

ひさしぶりの邦画だったが、テンポ良く進む物語、芝居は少しくさいがそれぞれ役柄にはまった役者さんたちの熱演でおもしろく観れた。太平洋戦争ものの基本を貫きながらも随所に仕掛けられたサスペンスとサプライズがなかなか良い。未読だが、福井晴敏の傑作海洋アクション小説「終戦のローレライ」を原作としたこの映画は、原作の持つケレン味をうまく映像化していたのではないかと思う。「宇宙戦艦ヤマト」を連想させるアニメ風の映像と底に流れる浪花節的な展開が絶妙にからまっているので、よくあるパターンじゃんと思いながらも、おじさん、不覚にもツボのところで泣いちゃったよ、もう。日本人なんだねぇ、あたしも!
説明不足のところもあって強引引きずり込みなのはまぁ時間の制限もあることだししかたのないところだが、秘密兵器ローレライとは何か?という最も重要なところへのもっていきかたにもっと工夫があっても良かったな。それにバックに流れる音楽もいかにもそれっぽくてむしろ耳障り。キーとなるモーツァルトの子守唄の澄んだソプラノは良かったのだが・・・・。
神秘的な少女役を好演した香椎由宇ちゃん、CGキャラクタが命を持って生身の人間になったような不思議な魅力でした。

アビエイター

生まれながらの大富豪ハワード・ヒューズの映画制作と飛行機に賭けた波乱に満ちた人生を描いた作品。惜しくもアカデミー最優秀主演男優賞を逃したがレオナルド・デイカプリオの熱演、脇を固める役者さんたちの好演と、大国アメリカの光と影を見事に表出させた名手マーチン・スコセッシ監督の職人技が光って、見どころの多い映画となった。
でもね、三時間は長いよ。
主人公がやたらハイテンションの男なわけよ。だからケイト・ブランシェット演ずる恋人キャサリン・ヘップバーンをはじめまわりがみんなハイテンションなのね。もう、三時間息つく暇なしのテンションあがりっぱなし映画なので見終わるとけっこうヘトヘト。スコセッシ監督作品のなんともいえない重量感は魅力でもあるのだけれど、こんなにその時間が長いと年寄りにはちょっときついよ。大波の連続ばかりじゃなく時にはさざ波がさーっと寄せる場面があっても良いのでは。
大空に夢翔ける男ハワード・ヒューズ、自らを「アビエイター(飛行家)」と称したというわけだが、もうちょっと良い邦題はなかったのかい。

オペラ座の怪人

朽ち果てたオペラ座で開かれている遺物のオークション、古びた布を取り払うとすごい埃と塵の中から現れる壊れかけた巨大なシャンデリア、モノクロームの画面からさーっと鮮やかに色がついてゆき往時の華やかなオペラ座が甦って物語がはじまる。映画ならではの導入部は最高なんだけどねぇ。
ヒロインはちょっとタレ目で愛くるしいし歌もまずまず、相手役の色男も柔らかな声で好いのだが、肝心のファントム(怪人)がなぁ。なんだかバットマンに出てくる悪役みたいだし声もどちらかといえば悪声で(歌は下手じゃないが)女心をとろけさせるとはとても思えない。さかりを過ぎたソプラノ役のミニー・ドライバーが好演だったが、まわりのテンションがあまりあがらず、ういてしまったような気がする。
まぁ、我ら貧乏人は本場もんのミュージカルの舞台を観たいと思ったって簡単には観れないわけだから一応映画でおさえておくか、ってことなんだけど・・・・うぅっ、悲しい。

ボーン
スプレマシー

前作「ボーン・アイデンテティ」が好かったが、二作目はえてして不出来が多いもの、期待しすぎないように用心して観た。ところがこれが予想以上にいいじゃないの。穴はあります。あるけれどもそれがあまり気にならない。完成度が高いと思ったよ。
このシリーズのヒーローは、自分が誰だかわからない記憶喪失のCIAトップエージェント。しかし習得したテクニックは忘れていないから滅茶苦茶強いというシチュエーションがまず良いね。そして起用されているのがマット・デーモンなのだが、彼ってどうみてもいいとこのお坊ちゃんなのに悪ガキみたいなキャラクターですげえミスマッチ。歩き方も相変わらずヒョコヒョコだし。なんだけど、それが逆にインパクト強いんだよなぁ。
原作はボーンシリーズ三部作になっているので次もあるかも。楽しみになっとります。
ライバルの殺し屋役のカール・アーバン、非情で冷酷なのにどこか哀しげな目が好し!

オーシャンズ
12

G.クルーニー、B.ピット、M.デイモン、J.ロバーツ、A.ガルシアなど前作「オーシャンズ11」と同じ豪華キャスティングに今回はC.Z.ジョーンズにヴァンサン・カッセルまで加わって、これでもかの主役クラス総出演。こんなに華ばかりで大丈夫?という心配は当たってしまった。
前作ではそのへんがみごとなバランスでつくられていて、それぞれのキャラクタがすごく魅力的だったのに今回はバラバラ。説明不足のまま強引に話が進んでいくのもあって入りこめない。とても気に入った「オーシャンズ11」の粋でお洒落なところが感じられなかった。今回は私は買えませんです。
でもあれだけの役者が1本の映画に揃うというのはまず無いわけで、そういう意味では見ごたえがあるといえないこともないかな?
詳しくは申せませんがモノスゴイ反則技があるのもいただけません。

Ray/レイ

実はおじさん、中学生の時、「愛さずにはいられない」のレコード買ってるのよ。心に直接共鳴してくるような独特の声と歌い方はかなりショックだった。思えばソウルミュージックとの出会いだったわけですな。
奇しくも昨年この世を去った盲目の天才アーティスト、レイ・チャールズの生涯を描いたこの作品、映画としてのまとまりはいまいちだと思ったし、共演者にインパクトのある人がいなかったので厚みが足りなかった気はするものの、モノマネ合戦だったら満点まちがいなしのほんものソックリ演技、ジェィミー・フォックスが凄いし、ちりばめられた「我が心のジョージア」「ホワッド・アイ・セイ」「旅立てジャック」などの名曲がやっぱり好いっ!私と同じくらいの世代にはこりゃたまりませんよ。
彼が光を失う少年時代のエピソードは泣けます。

ターミナル

こりゃ新年早々から本年ベストかも。ハリウッド映画の伝統的な爽やかで心地よい空気にあふれた良い作品です。「…んなことあるわけねぇだろ」とか「そんな都合よく物事はこんだら苦労はしません」とかいう人、あんたは映画向きじゃありません。
さすがさすがのスピルパ−グ監督、いわずもがな名優トム・ハンクスをはじめ芸達者バイプレーヤーたちの熱演、今回はすてきに可愛いキャサリン・ゼタ・ジョーンズ。みんな文句無し。でももっと驚くのは舞台であるエア・ターミナルがそっくり本物の空港と同じ大きさでつくられたセットだってこと。さまざまな人種の乗客たち・空港職員・ハンバーガー屋など実在ショップの店員(吉野家まであるんだぞ)みんなエキストラ。スタッフも含めればその人数は見当もつかない膨大なもので、そのすごさにおじさんなんかまず感動しちゃうよ!
Life is waiting. ・・・いいキャッチコピーですなぁ。


タイトル横のR2D2のイラストはAtnet Japan!様よりいただきました。

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