2004年版
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コラテラル |
短髪の銀髪、ノーネクタイのスーツ姿で非情な殺し屋、トム・クルーズが演じるこのキャラクターは、この映画を北野武風バイオレンス映画ではないかと思わせる。血糊ビチャビチャのあの手の映画が嫌いな人はちょっと敬遠したかもしれない。 |
銀賞
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シークレット |
やっぱりジョニー・デップは、若手“不気味”俳優ナンバー1でありましょう。画面に登場した途端に、なんか怪しいものなぁ。 |
銀賞
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ヴィレッジ |
M・ナイト・シャマラン監督には前ニ作「アンブレイカブル」「サイン」ですっかりやられてしまった。デビュー作の「シックス・センス」が素晴らしかっただけに、二本とも“完全個人的”に「金返せ〜!」級だったのがほんとに残念でしたよ。 |
金賞
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スウィング |
ひさしぶりの日本映画です。和田誠監督「真夜中まで」以来三、四年ぶりだ。 |
銅賞
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テイキング |
アンジェリーナ・ジョリー演ずる女性FBI捜査官イリアナ・スコット、名作「羊たちの沈黙」の流れを汲んでいるわけだが、キャラクタとしては「羊たち…」のクラリス・スターリング捜査官の複雑で底の深い個性にはやはり及ばなかった。熱演はしていたし、彼女独特のコケティッシュな部分もずいぶん観せてくれたけど・・・・・・・・・・・・・・・ あとはひとことも書けません。そういう種類の映画だっちゅうことです! |
銅賞
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ヴァン |
こういう映画に期待し過ぎは禁物!そう心に誓って観たら、うん、なかなか面白く観れた。いわゆるジェットコースター・ムービーですな、これは。今思えば作りは相当粗いのだが、観てる最中は辻褄が合っていようがいまいが次から次への高速展開についていくのが精一杯。もう細かいことなんか考えちゃいられんのだよ。荒唐無稽プラス奇想天外映画は、このものすごいスピード感が不可欠なのだと改めて認識させられた次第。荒業・力技は承知のうえで仕掛け、仕掛けの連続で楽しませるスティーブン・ソマーズ監督はさすがです。 |
銅賞
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華氏911 |
予告編を観た印象では、G.ブッシュをおちょくりまくって終始する映画のように思っていたが、実はとてもシリアスで、現アメリカ大統領を徹底的に批判することによって自分勝手な方向をもっともらしい理由をつけて強引に押し付けあっている人間の愚かさを浮き彫りにしたけっこう重いものだった。財力があって力の強い者は安全なところにいて大義を叫び、貧しく力の無い者が結局は危ない矢面にたつことになるのだなぁ。 |
銅賞
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キング |
円卓の騎士たち、魔剣エクスカリバー、魔術師マリーン、心躍る夢と冒険のアーサー王伝説・・・これまで何度も映画化されたこの物語を先進の映像技術がさぞ魅力的な作品にしているにちがいないと思って観にいったのに、肩透かしの連続で椅子から崩れおちそうだったよ。キング・アーサーは現実にいたのだ、という主張はわかるけど、こういう映画を観にいく人はほどよく味付けされたファンタジーを期待して映画館にいくのだと思う。リアルな戦闘シーンだけがやたら目立ってしまうのはちょっと勘弁!(それも「HERO」みたいなアクション映画で観たことあるよ!というのが多すぎ) |
賞外
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ドラムライン |
アメリカン・フットボールのハーフタイムショーのマーチングバンドは、テレビでちょっと見ただけでもすごいのだから、映画ならきっと大迫力映像で度胆をぬかれる快感を味わえるだろうと思っていたのに、これが案外チマチマ…。よくあるストーリーで先は読めちゃうのだから、映像の見せ方に工夫がなくっちゃねぇ。 |
賞外
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シー |
この映画は二月に見ていたのをうっかりここに載せるのを忘れていたものだが、今年見た中でけっこうマイベストに入る一本なので遅れ馳せながら報告。 |
金賞
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ウォルター少年 |
「スクリーンで観たい脚本No.1に選ばれた」というキャッチコピーの割には、イマイチだったなぁ。 |
銅賞
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真珠の |
ヨハネス・フェルメールの絵は36点しか現存せず、どれも傑作の名に恥じない。中でも「真珠の耳飾りの少女(青いターバンの少女)」は、ハッと息をのんだ瞬間の少女の表情が印象的な美しい絵だが、その1枚の絵から紡ぎだしたこの物語の原作者トレイシー・シュバリエがまず凄い。さらに登場人物の心の微妙なゆらぎを繊細に描ききった監督ピーター・ウェバーもなかなかの人である。単なる“絵解き”の映画ではありません。 |
大賞
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21グラム |
ストーリーが短い単位で前にいったり後ろにいったりが繰り返されるので、観客は自分でシーンを組み立てながら観なければならない映画であるということだけは、予備知識として持っていたほうが良い。そういうことをわずらわしいと思う人も多いだろうから、好き嫌いがはっきり分かれる映画だろうと思う。多分アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督は、その作業を観客に強いることでより深くこの映画の中に入り込ませ、運命に翻弄される人間の哀しみを感じさせようとしたのだ。 |
銅賞
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デイ |
どうせ「これみよがしCG」だけの底浅パニック映画だろう、と思って観にいかない人がいるかもしれないな。「あなたはその時どこにいますか?」の予告編もポスターもちょっとそんなにおいがするし…。 |
金賞
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トロイ |
だまされた。予告編に完全にだまされてしまった。こんなにだまされたのはM・ナイト・シャマラン監督の「サイン」以来ひさし振りだ。一艘の軍船からズームアウトしていくと何千艘もの大船団が海を覆い尽くさんばかりにあらわれる大迫力予告編で、ホメロスの大叙事詩の映画化なのだからきっとすごいはずだ、と思いこんだ私がバカでした。無敵の戦士アキレスを演じるブラッド・ピット中心のギリシャ風チャンバラ活劇だとはじめからわかっていれば、もっと楽しめたのに。 |
賞外
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パッション |
これまでキリストの受難は音楽や美術の世界で無数に表現されてきた。監督、メル・ギブソンは、それを映画であらわそうとしたのだと思う。受難曲や受難の絵がそうであるように、メルはこの作品を通してなんらかのメッセージを私達に伝えようとしたのではない。聖書の記述を歴史の記録ととらえ、イエス・キリストの最後の12時間をたんたんと、ひとつのドキュメンタリーとしてわれわれに見せたかったのだ。ジョン・デブニーの音楽は固定化されたいわゆる教会音楽とはかけ離れたものだし、登場人物がその当時使われていたとされるアラム語とラテン語を話す(英語字幕の上に日本語字幕がでる)のもそれゆえである。目を覆いたくなるイエスへの残忍な仕打ち、いやが応にも感じさせられる痛みの感覚、そしてなんという人間の愚かさ。すべて観客が受け止め、いま考えなければならないことが山ほどあることをいまさらに気づかされる。 |
金賞 |
コールド |
レニー・ゼルウィガーがアカデミー賞の助演女優賞をとった映画だが、たくましく生きぬく南部の女のイメージは彼女には合わないと思う。合っていないところでの熱演が評価されたのだと思うが、それにしてもちょっと無理があるのでは。主演のニコル・キッドマンのかわいこブリッコの方がぴったり。色白、可愛い、可愛いではじまったニコルが、しだいに頬のあたりが日焼けしてたくましくなってゆき、ラストのあたりで黒いロングコートに身を包みショットガンをかまえるシーンはゾクゾクしましたぜ。 |
銅賞
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恋愛適齢期 |
主演はご存知、怪優ジャック・ニコルソン。あの体型で、あのいやらしい目つきで、若い女の子を次々とものにする老プレイボーイという設定はあまりに無理ではないか、と思って実際映画を見てみると、これが強引にも納得させられてしまうのだなぁ。むしろ、年をとってもスッキリ体型、シルバーグレイのイケ面中年が演じるよりも何倍もリアリティがあると思ったね。共演のダイアン・キートン、こちらも年をとりました。とりましたが、キュートな感じは若い頃そのまま。キアヌ・リーブスとデートするためにダークグレイのワンピースを来てあらわれた時の美しさには息をのんだ。映画自体の面白みという点ではいまひとつだと思うが、この映画から汲み取れる教訓はなにか?とか考えずにごくお気楽に見るべきです。 |
銅賞
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ペイ |
B級です。B級だが、そう思ってあまり期待していかなかった分ずいぶん楽しめた。まず、主人公が「事件巻き込まれ型」であること、さらに「ジグソーパズル式謎ピタピタはまり型」の映画であるというのは、ふたつとも好みのパターンなんだなぁ。ジョン・ウー監督の切れ味鋭い演出はさすが、得意のカンフー・アクションも楽しめるが、ビジネスマン(主人公は一匹狼のシステム・プログラマー)は普通カンフー修行やらんだろう。近未来の話で武器はいっぱいあるのに、結局素手で勝負になるのは納得いかん。主演のベン・アフレック、馬面はしょうがないとしても、あのどんより眼はなんとかならんか。薬をうたれて意識もうろうの時も、ふつうにハッキリ意識の時も眼がおんなじ、と思うのは私だけでしょうか。 |
銅賞
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ミスティック |
ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコンの三役揃い踏みときたら見ないわけにはいかん。熱演だった。アカデミーの主演男優(S.ペン)助演男優(T.ロビンス)になったのも、うなずかないわけにはいかない。しかし、暗い。全編にわたって沈うつな空気がただよい、よどみ、結末にむかってどんどんそれが濃くなっていく。あまりに苦い後味は好きになれません。92年の西部劇「許されざる者」でも感じたことだが、監督としてのクリント・イーストウッドはあまり上手だとは思わない。マカロニ・ウエスタンの「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」で賞金稼ぎの流れ者を演じていた時のイーストウッドはかっこよかったのに。 |
賞外
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ロード オブ |
これはおもしろかった。いろいろいう人もいるけど、おもしろいものはおもしろい。原作「指輪物語」の、筋そのものはとてもシンプルなのに、付随する尾ひれの膨大な数と種類によってその世界がつくりあげられていく様がみごとに映像化されていたと思う。ファンタジー映画によくある、とんでもない反則技が少ないのがいいよなぁ、ま、ちょっとした反則はあるにはあるけど。第二部はちょっと中だるみの感があるが、この第三部完結編の見事な出来は第76回アカデミー賞作品賞・監督賞をはじめ、数々の部門賞の栄誉に輝いたのも当然といえる。映像化不可能といわれた原作を映画にするぞ、と決心した監督、ピーター・ジャクソンは偉い!(アカデミー授賞式ではそのへんの酔っ払いのようではあったが・・・) |
金賞
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ラスト |
ハリウッドが日本を描いた映画のなかでは、秀逸。荒唐無稽あり得ないストーリーだが、細部が丹念に描きこまれているので、そういう映画なんだと思ってみれば違和感によるストレスは少ない。 |
銀賞
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タイトル横のR2D2のイラストはAtnet
Japan!様よりいただきました。
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