吸排気装置



 国内仕様SRのキャブレターは、逆車と同じ形式のミクニBS34SSであるが、アクセルワイヤーが引き側・戻し側の2本接続されている。
 中古でカタナを購入した時点で、前のオーナーの手によって逆車と同じ112.5番のメインジェットに交換され、ジェットニードルのクリップ段数が上から3段目に変更されていた。国内仕様の標準メインジェットは1/4番が100番、2/3番が97.5番、ジェットニードルのクリップ段数は上から4段目であるが、ヨシムラ製のチタンサイクロンTCへの交換に合わせて、このように変更したものと思われる。エアクリーナーBOXも輸出仕様車の吸入口が大きいタイプに変更されていた。
 ノーマルの負圧キャブのままで、少しでもパワーアップさせたいという思いから、エアクリーナーにK&N製のパワーフィルターを入れ、エアクリーナーBOXの蓋をユニコーン製の物に換えた。また、吸気量の増大に合わせてメインジェットを全気筒125番に変更した。
 この仕様でのセッティングは、幾度かの走行テストの結果、ジェットニードルのクリップ段数を上から5段目、パイロットスクリューの戻し回転数を2と3/4回転にしたことで落ち着いた。走行してみた感覚は、全回転域ともにトルクが一回りズ太くなった感じで、ほぼフルパワーの状態であると感じた。お薦めのチューンである。

※ノーマルキャブのジェットニードルのクリップ段数の変更やメインジェットの変更は、キャブを車両に搭載したままで可能だ。フロートチャンバーの取り外しやメインジェットの交換は、キャブの底から手探りで柄の短いスタビドライバーやボックスレンチの+コマ、−コマ等を駆使すればできる。ついでに上下のスクリューをM5のキャップボルトに変更しておくと、その後の分解が楽になる。


(使用パーツ)
・神戸ユニコーン/10134 エアクリーナーリッド
・K&N/SU-1250 リプレイス・フィルター






 さらなる刺激を求めて、とうとうレーシングキャブに手を出してしまった。選んだキャブはヨシムラ製のミクニTMR−MJN(エアスクリュータイプ)、BMCパワーフィルター仕様。当初、BITO R&D製のFCRも検討したが、チョークや燃料コックの負圧取り出しがあり、サイドリンク方式で取り外しが容易なTMRの方を選んだ。価格もトータルでTMRの方が安かった。エンジンンの熱によるパーコレーション防止のために、ヒートガードも併せて取り付けた。
 取り付け後の初走行では、加速の鋭さと高回転まで持続するパワー感を感じた。スロットルを開けると、「ピュー」という吸気音を発して暴力的に加速する。始動性も良好で、アイドリングもノーマルキャブよりも低回転で安定しており、ツーリングにも十分に使うことができる。デメリットは、燃費がノーマルキャブの約19q/Lから約15q/Lに低下したことと、ラフに大きくスロットルを開けると、一瞬エンジンが失火したようになって失速した後にドッカーンと加速すること、そして街中の交差点を曲がるときなどに極低回転でギクシャクすることである。まあ、これらのデメリットはTMRの扱いに慣れればまったく問題はないのだが、ノーマルキャブにはない扱い辛さも多少はあることを正直に書き加えておく。
 このキャブは出荷時からヨシムラ製のマフラーに合わせてシャーシーダイナモ上でのセッティングが施されているということである。実際にキャブの中身には一切手をつけずに取り付けても満足できる走りを得ることができ、今後のセティングの必要性を
感じない。


(使用パーツ)
・ヨシムラ/798-191-2001 ミクニTMR−MJNキャブレター(BMCフィルター仕様)
・ 〃   /855-209-4060 ホースバンド NORMA(40-60)  8個
・ 〃   /541-001-0000 カーボンヒートガードシートSET

(ヨシムラ出荷時のセッティング)
 @MJ142.5番
 APJ27.5番
 BAS・PS1回転戻し±1/4〜8
 CMJN刻印A上から3段目
 Dノズルガイド752X-0
 E加速ポンプノズル30番
 F加速ポンプ作動開度1/8〜1/2



(追記)現在出荷されているヨシムラTMR−MJNは、通常のミクニ製TMRとは異なり、スロー系の空気の量をエアスクリューで調整できるようになっている。しかし、古いタイプのTMR−MJNは、エアスクリューがなく、エアージェットを交換することによって空気の量を調整しなければならない。このキャブレターを中古で購入する場合は、新旧どちらのタイプのキャブレターなのか、十分に確かめた方がよいと思う。






TMRを取り付けるためには、スロットルホルダーやアクセルワイヤーの交換も必要となる。TMRに適合するヨシムラ製スロットルセットに付属するスロットルグリップインナーパイプの径は32.0ミリで、カタナ標準の30.0ミリよりも若干大きい程度。他のメーカーから販売されている37.5ミリや40.0ミリといったハイスロ化はされていない。
 スロットルを開く右手の微妙な動きにリニアに反応するように、ヨシムラではこのような設定にしているのだと思う。グリップラバーもヨシムラ製に交換したが、ラバー交換が容易にできるように、ステンレスワイヤーでハンドルバーに固定した。


(使用パーツ)
・ヨシムラ/671-010-9500 TMRラージボディ用レーシングスロットルホルダーSET(LONG、ケーブル長:950ミリ)

(消耗パーツ)
・ヨシムラ/671-300-0000 グリップラバーSET
・ 〃   /671-310-0000 インナーパイプ(TMRラージ、巻取形32.0ミリ)
・ 〃   /671-200-9500 スロットルワイヤー(LONG、950ミリ)
 当初はヨシムラ製のドライブスプロケットカバーを取り付けていたが、せっかくキャブをヨシムラTMR−MJNに換えたので、キャブ交換によって必要となるオイルキャッチタンクも最近再販されたヨシムラ製のカタナ専用品(容量約750ml)にした。
 以前発売されていた物はアルミポリッシュ仕上げだったが、再販された物は濃紺のアルマイトがかけられている。取り付けは完全ボルトオンだった。ブリーザーホースはタンクに付属するタイラップではなく、汎用のステンレス製のホースバンドを使用して固定した。


(使用パーツ)
・ヨシムラ/532-191-0001 オイルキャッチタンクKIT
 以前取り付けていたヨシムラ製のドライブスプロケットカバー(品番582-191-0000)。オイルキャッチタンクの装着によって不要になった。
 カタナを中古で購入した時点で既にヨシムラ製の機械曲げチタンサイクロンのカーボンサイレンサータイプ(TC)が装着してあった。しかし、あたかも旧車であることを誇示するようなステップフレームマウントのダウンタイプのマフラーは好みではなく、できれば現在のバイクのようなアップタイプのマフラーに交換したいと思っていた。
 そのようなときにヨシムラから限定5台の1135Rが発売になった。1135Rの写真を見て、このバイクのマフラー形状が気に入り、マフラーのみの発売予定をヨシムラに問い合わせたところ、同じような問い合わせが多いため、限定生産で販売することを検討しているとの回答を得た。そして待つこと数ヶ月、平成14年の正月明けに限定生産で110本の販売が決定されたことと、予約受付を開始するという内容のメールをヨシムラの営業推進部の方からいただき、さっそく販売店に予約した。限定生産マフラーのサイレンサーは、カーボンとチタンの2種類あったが、ヨシムラNK−1同様のカーボンサイレンサーのマフラーを予約した。そして、2月中旬、やっと手元にこの限定生産のマフラーが届いた。
 このマフラーは、エキパイから集合部は機械曲げ、中間パイプは虹色に焼けた手曲げだ。リアショックの上部マウントからサイレンサーをつり下げるために、バフがけされたアルミ製のステーが付属していた。このUPタイプのマフラー取り付けるために、ステップフレームを切断し、バックステップにすることと、リアウインカーを小型化することが必要になった。
 エキパイが手曲げではなく、機械曲げなのは残念だが、ハネ上げ形状は想像以上のカッコよさで大満足であった。このマフラーを取り付けた後の印象は、以前の機械曲げチタンサイクロンに比べて、近所迷惑にならない程度にアイドリング時の排気音が静かになったことと、5千回転以上での高回転の伸びがスムーズに感じたことだ。おそらく二度と手に入れることのできないこの限定マフラー、絶対に右側にはコケないようにしたい。


(使用パーツ)
・ヨシムラ/110-191-8690 リミテッドチタンサイクロン(カーボンサイレンサー)
 タンクキャップをYRP製のエアプレーンキャップに交換した。ノーマルキャップに比べて給油時の開閉がちょっと面倒になったが、キャブをTMRに交換してから発生するようになった高回転時の息継ぎのような症状が収まった。多分、ノーマルのタンクキャップは、タンク内部のバルブの関係で空気の流入がスムーズではなく、エンジン高回転時にタンク内が負圧状態になって、キャブが必要とするガソリンの供給量が追いつかないのだと思う。
 YRP製のタンクキャップにはワンウエイバルブが内蔵されているとのことだったが、キャップのブリーザーからガソリンが逆流することがあったので、画像のようにキジマ製のワンウエイバルブを追加した。


(使用パーツ)
・YRPレーシング/410-021-1001 エア・プレーン・キャップ
・キジマ   /105-151L    ワンウェイバルブ6mm(ブルー)