17インチ仕様 Rサスペンションの交換



 17インチのリアホイールを仮組みした時のチェーンとリアサスとの位置関係。チェーンとリアサスとの間隔は1ミリ程度で、走行時のチェーンとリアサスの干渉が避けられず、危険な状態。この問題を解決するためには、スイングアームのサス受けを外側に移動させ、チェーンとリアサスの間隔を広げる必要がある。
 18インチ仕様で使っていたリアサス(ヨシムラKYBリアサスペンションSGS335B)で組んでみた様子。
 前後17インチホイールに換装したため、当然車高が下がっていわゆる「車高短」の状態。流行の17インチ化であるが、ただ単に前後ホイールを17インチに換装するとこんな状態になってしまうという、悪い見本。やはりバイクは眺める物ではなく、実際に乗るための乗り物なのだから、改造するに当たっては事前に情報を収集し、ディメンションや走行安定性をきちんと考えてからカスタムするべきだと思う。
 このままでは直進安定性や旋回性の低下は免れない。この状態を改善させるには、フロントの車高はそのままに、リアサスを長いものに交換してリアの車高を上げ、フロント荷重を強くする必要がある。

 リアの車高を上げるために用意したカワサキ車用のヨシムラKYB製リアサスペンションSGS355A(全長355ミリ)。カタナ用に設定されているSGS335B(全長335ミリ)よりも全長が約2センチ長い。本来はレース用のサスペンションであるため、ストリート用のサスに対してバネレートや減衰力が上げられている。
 ロッドに点サビが発生し、オイル漏れを起こしている物を超格安で入手し、ヨシムラに送ってオーバーホールをしてもらうことにした。

(使用パーツ)
・ヨシムラ/630-120-3550 ヨシムラKYBリアサスペンションSGS355A(Z1/Z2,Z1000J/R他レース用)
 ヨシムラでのオーバーホール後、化粧箱に梱包されて返送されたリアサスペンション。ロッドとプラダ、バンプラバーが交換されるとともに、新しいオイルとガスが封入されて新品と同じ性能を発揮することが保証されている。オーバーホール後に減衰力の計測器にかけられ、その計測データをグラフ化した資料がリアサスに添付されて送られてきた。
 さすがヨシムラ。オーバーホール作業にも徹底したこだわりを持っている。オーバーホールに要した費用は約3万円で、納期は約2週間であった。リアサスを新品で購入するよりも格段に安く済ませることができた。

 ヨシムラから送られてきたリアサスペンションにはOH後の性能曲線資料が添付されており、縦軸が減衰力(kg)、横軸がストロークの速さ(mm/s)で、4段階のアジャスターを動かしたときの性能が4本の曲線で示されている。
 カタナへの取り付けにあたっては、まずはスプリングのプリロードと減衰力アジャスター共に最弱のダイヤル位置からセッティングを開始したが、試乗の結果、このダイヤル位置が自分にとってはベストだった。
 今まで予備パーツとしてストックしていたOVERレーシング製のスイングアーム(type3)の現行モデル。17インチ化のため、このスイングアームを業者に加工してもらうことにした。
 業者に依頼する加工箇所。スイングアーム左右の凸型サス受けマウントを切除し、現在の位置よりも約10ミリ外側にずらしてヨシムラKYBリアサスペンションSGS355Aに合わせたカワサキ車用の凹型サス受けマウントをTIG溶接(アルゴン溶接)してもらう。
 スイングアームへの溶接を依頼する凹型のサス受けマウント。アルミ5052材で作られたALL-Billet仕上げのカワサキ車用カスタムパーツだ。エンドアイの高さがカタナのサス受けマウントよりも約5ミリ高くなっており、全長が20ミリ長いリアサスペンションと合わせてリアサス全体で約25ミリの延長となる

(仕様パーツ)
・PMC/74-0050 溶接用リアサス・マウントSET(20ミリアイエンド用)
 業者によるサス受けの溶接加工を終えたスイングアームを上から見た様子。指定通りにサス受けマウントの位置が左右とも約10ミリ外側に移動されている。
 加工されたスイングアームを横から見た状態。
 スイングアームに溶接されたサス受けマウント。溶接の仕上がりが美しい。
 18インチ仕様で取り付けていたYRP製のレイダウンKIT。このパーツを17インチ仕様でもそのまま使う。このパーツだけでリアの車高を約2〜3センチ上げることができる。
 スイングアームを車体に取り付ける前に、左右ピボット部のベアリングを予め新品に交換しておいた。

(使用パーツ)
・OVERレーシング/43-99-03 テーパーローラーベアリング(NTN製4T-32004X) ×2個
・  〃       /43-98-23 ピボットカラー(16Φ×2t) ×2個
・  〃       /43-99-06 アルミダストカバー ×2個
 リアサスペンションまわりの組み立て作業の様子。パーツをただ組み立てるだけだから、作業自体は難しくはない。要所要所にグリースをたっぷり塗ってパーツを取り付ける。
 組み立て後のチェーンとリアサスペンションとの間隔は画像のとおり。これで走行時にチェーンとリアサスペンションが接触する危険性は回避することができた。
 リアまわりのセットアップが完了したときの画像。リアサスペンション等による車高UPにより、18インチ仕様に比べてかなりケツが跳ね上がったような姿勢になった。
 車体を真後ろから見た様子。タイヤの太さが、細くもなく、太くもなく、自分としては丁度いい感じ。どの程度リアの車高が上がったかは、タイヤとフェンダーの間隔を見れば一目瞭然。
 暫定17インチ仕様完成後の車体全体。リアの車高を上げたことによって前傾姿勢となったが、旋回性を向上するために必要なフロント荷重は大きくすることができたと思う。