17インチ仕様 Fブレーキの取付



 中古で入手したGSF1200のフロントホイールには,GSF標準の310Φディスクローター(オフセット19.5ミリ)が付属していた。フロントブレーキのセットアップに向けて、取りあえずはこのローターにブレーキキャリパーをセットして、マッチングを検証してみることにする。しかし、この金色に輝くインナーディスク、自分のシルバーのカタナには似合わない感じがする。

(使用パーツ)
・スズキ純正/59210-31E10 ディスク、Fブレーキ、ライト
・ 〃     /59220-31E10   〃         、レフト
 フロントのブレーキキャリパーは18インチ仕様で使っていた、ブラックにアルマイト処理されたブレンボ4POTキャスティングキャリパーをそのまま使う。
 18インチ仕様で使っていたキャリパーサポートはアドバンテージ製の320Φディスクローターに合わせてワンオフ製作したものなので、ローター径やディスクのオフセット量がまったく異なるGSFのディスクローターには当然使えない。したがって、別のサポートを用意する必要がある。
 当初は新たなサポートをワンオフ製作してもらうことを検討したが、その製作にかかる見積額は38000円!ワンオフを依頼する前に、市販されているキャリパーサポートで検証してみることにした。このサポートは90ミリピッチのスズキ車に40ミリピッチのブレンボキャリパーを取り付けると同時に、標準よりも直径が10ミリ大きいディスクローター(オフセット量の変更はなし)に対応させるためのもの。しかし、こういうサポートを発売しても、直径が10ミリ大きいディスクローターなど、簡単に入手できるものではない。そのために、大量に売れ残ったのであろうか、購入時の価格は定価の半額以下。後にサポートを加工することも考え、予備も含めて2セット購入した。

(使用パーツ)
・アクティブ/1470004H キャリパーサポート(GSF1200他適合、大型ローター対応)
 
 サポートが届いたところで、さっそくフロントブレーキを取り付けてみた。 まずはブレーキパッドを予め外しておいたキャリパーとキャリパーサポートを仮組みした。何と!ヨシムラSHOWAフロントフォークと310Φディスクローターを組み合わせた場合は、ローター径についてはこのアクティブ製のサポートでピッタリだった。
 ただし、ローターのセンターがキャリパーの内側に約1ミリ程度ズレている。そこで、このサポート付属しているキャリパーのオフセット調整用シム(0.5ミリ厚、8枚入り)を2枚ずつ重ねて計1.0ミリ厚にしてからサポートとキャリパーの間に挟んでキャリパーを固定した。これによって、キャリパーが内側に1ミリ移動し、ローターとキャリパーのセンターを出すことができた。
 キャリパーを後ろ側から見た画像。画像では分かりずらいが、ローターとキャリパーのセンターがしっかり出ている。
 結局、キャリパーサポートをワンオフ製作する必要はなくなり、ヨシムラSHOWAフォークとGSF1200やイナズマ1200、RF900、バンディット1200などのオフセット量19.5ミリのディスクローターを組み合わせる場合は、アクティブ製の大型ローター用のサポートがそのまま使えることがわかった。
 
以上で17インチ化にともなうフロント・ブレーキのセットアップは終了するはずであったが、例の金色に輝くGSFのローターがやはり気に入らず、さらに試行錯誤を続けることに・・・。
 別に入手しておいたGSX-R1100のスリット入りディスクローター。内径:64.0ミリ、取付PCD:86.0ミリ、取付孔:5穴10.1mmというサイズで、ホイールへの取り付けに関してはGSFのローターとまったく同一である。異なるのはオフセット量で、GSFがオフセット19.0ミリなのに対してGSX-Rはオフセット22.0ミリで、オフセット量が3.0ミリ大きい。
 この3.0ミリの差を解消するには、キャリパーの位置を外側に3.0ミリ移動させなくてはならない。したがって、このディスクローターを取り付けるために、キャリパーサポートのフライス加工が必要となった。

(使用パーツ)
・スズキ純正/59210-40C02 ディスク、Fブレーキ、ライト
・ 〃     /59220-40C02   〃         、レフト
 GSFディスクローターのセンターを出すときにキャリパーサポートとキャリパーの間に入れた2枚のシムを抜けば、それだけでキャリパーが外側に1.0ミリ移動する。3.0ミリのオフセット量の差を解消するには、キャリパーサポートを2.0ミリ削って、キャリパーの取付位置をさらに外側に2.0ミリ移動させる必要がなる。専門業者にサポートのフライス加工を相談してみたところ、エンドミルによる直線面加工でよいのであれば、サポート1個につき格安3千円で加工してくれるとのことで、迷わず加工を依頼した。
 画像は加工されたサポート。キャリパー取付面が2.0ミリの深さでフライス加工されている。仕上がりは完璧で、技術力、価格、納期のいずれを考えても、この業者はすごい!
 サポートの厚みは元々9.5ミリあり、2.0ミリの深さでフライス加工された部分の厚みは7.5ミリになった。サポートの剛性や横方向への強度は若干低下するが、ブレーキング時には縦方向の力が主に加わるので、強度的には心配なさそうだ。
 加工されたサポートが届いたので、いよいよGSX-Rのディスクローターへの交換を試みることにした。
 まずはGSFディスクローターの取り外しから。ボルトがネジロックで固着しているので、エクステンションバーを使い、力を一気に加えながらボルトを緩める。L型の六角レンチを使うと、ボルトの頭を潰すか、ボルトを折って、その後大変なことになるので、エクステンションバーに六角のコマをセットして、慎重に作業した。
 画像は取り外した左右計10本のディスクローター取付ボルト。中古で入手したホイールとディスクの程度はよく、比較的新しい物だったのに、ボルトはこのように腐蝕が進んでいた。このように腐蝕が激しいのは、GSFに使用されている純正部品のボルトの表面処理に多分問題があるのだと思う。GSFホイールをそのまま使っている方は、今のうちにチェックしておいた方がいいと思う。
 画像左側はGSFに当初使われていたディスクローター取付ボルト(品番09106-08125)。右側はその対策部品(品番09106-08148)で、ボルトの表面処理がまったく異なることがわかる。GSX-Rのディスクローター取り付けには、この対策部品を使用した。

(使用パーツ)
・スズキ純正/09106-08148-000 ボルト8×33(対策部品)
 交換するディスクローターの比較。画像左側が取り外したGSF1200のディスクローター。右側がこれから取り付けるGSX-R1100のディスクローター。
 GSX-RのディスクローターをGSFホイールに取り付ける。対策部品のボルト5本は、ネジロックが塗られている部分以外にグリスを薄く塗って均等に締め付けた。
 ディスクローターの交換が完了したフロントホイールを再びフロントフォークにセットする。
 キャリパーサポートとフロントフォークを固定するボルト(M8×25、P1.25)とブレーキキャリパーとキャリパーサポートを固定するボルト(M8×25、P1.5)。
 どちらも見た目を重視してステンレス製のボルトを使用するので、ステンレスとアルミニウムとのカジリ(焼き付き)を防止するために、スレッドコンパウンドをしっかり塗布してから取り付けた。
 ブレーキまわりのボルトの締め付けはラチェットレンチを用いて行った。命に関わる部分なので、締め付け忘れがないか、作業後に入念にチェックすることが必要。
 取り付けられたブレーキキャリパーとGSX-Rのディスクローターとの位置関係。キャリパーサポートを加工したことによってセンターもしっかり出ており、ディスクローター交換は成功した。
 フロントブレーキのセットアップが完了したフロントまわり。GSFのディスクローターよりも、GSX-Rのスリット入りローターの方が絶対に格好いいと思うのは自分だけ?
 フロントブレーキのマスターシリンダーも流行のラジアルマスターに交換することにした。

(使用パーツ)
・デイトナ/49142   NISSINラジアルマスターシリンダー(黒/黒)
・  〃 /49151   OPTIONアルミタンクステー(黒)
・  〃 /33824   スペシャルエアブリーダー(ステンレス製)
・プ ロ ト/GRP300  バンジョーボルト(M10×P1.25、ブルー)
(2006.03.12追記)
 上記のマスターシリンダーにもバックミラーホルダーは付属しているが、クラッチ側に取り付けた大野スピード製クランプの形状に合わせて、デイトナから別売されているクランプタイプのバックミラーホルダーに交換。

(使用パーツ)
・デイトナ/13326 バックミラーステークランプM10(ブラック)
 ラジアルマスターシリンダーを取り付けた様子。心配されたバンジョーボルトとフロントカウルとの接触は避けることができたが、マスターシリンダー内のエアがなかなか抜けず、エア抜きには大変苦労した。
 交換後は、交換前の横型マスターシリンダーに比べて、ブレーキング時にパッドがローターを挟み込むときの感触が手に伝わるようになり、大満足。
 フロントブレーキに引きずりが感じられるようになってきたため、パッドピンをブレンボ純正の鉄製から、デイトナ製のステンレス製パッドピンに交換することにした。新品のブレンボ純正パッドピンに交換すればよいところだが、ブレンボキャリパーのパーツは単体で入手することは難しい。
 

(使用パーツ)
・デイトナ/34794 SUSパッドピン(ブレンボ・キャスティング4POTキャリパー用)×2本
 まずは打ち込み式のブレンボ純正パッドピンをキャリパーの裏側から叩いて抜き取る。
 取り外したブレンボ純正パッドピンとデイトナ製ステンレスパッドピンを比較した様子。画像左のブレンボ純正には摩耗による段付きが発生しており、その傷がブレーキパッドの戻りを悪くしていたようだ。
 交換するステンレス製パッドピンには予めホンダ純正のパッドグリスを薄く塗っておく。
 パッドピンの交換はいたって簡単。キャリパーとパッドに差し込むだけ。 パッドピンの交換後はブレーキの引きずりは改善された。