フェルナーは朝の一服を吸いながら考えた
何でこんな夢を見たんだろう
うちの軍務尚書が、夢枕に立つなんて・・・
迷信とか宗教とか信じていないけど
まあ、暇だし、久し振りに墓参りでもしてくるか!
おや、誰かが来ている
月命日でもないのに誰だろう?
墓前に百合の花束を置いて、その人が振り返る
会釈したので、俺も会釈して改めて顔を見る
あれ!えぇ~!
アマンダ?だよな?
でも、抱いているその赤ん坊は何だ!
お前の子か?
赤ん坊の薄茶色の目が、俺をじっと見つめる
オレンジ色の髪が、さらさらと風に揺れる
誰かを連想させるその面差し・・・
母親が微笑む
お前が笑うなんて・・・
初めて見たよ
母親が その小さな耳に何か囁く
赤ん坊が人懐っこい笑顔で、小さな手で振ってバイバイをする
俺もついつられて、笑顔で手を振る
母子を見送る俺の背中に
懐かしい視線を感じる
「用件はこれですか?」
墓前に向かって呟く
「私はもうあなたの部下ではないのに、まだこき使うのですか?」
仕方ない、やるか。
依頼者ではないけれど、調査費用はあの猪に請求しよう
さて、うまく尾行出来るかな・・・
<END>
~あとがき~
軍務省も黒色槍騎兵と同様、チームワークは良かったと思っています。
元軍務尚書は、自分の部下であったアマンダの幸せを願っていたからこそ、フェルナーに頼んだのでは・・・
あのオーベルシュタイン元帥も部下思いの上官だったのです。
注)このサイトでは、フェルナーはオーベルシュタイン元帥亡き後、軍人を退役して興信所をやっています。あしからず・・・