インシュレーターの破損



 昨年の走り納めに、なぜか激しいバックファイヤー(キャブレターへの吹き返し)やアフターファイヤー(サイレンサー内での爆発)が、何度か走行時に発生した。まだバルブが突き上げるほどの距離は走行していないエンジンなので、原因は吸排気系にあることに違いなく、シーズンインを前に点検することにした。
 まずは点火プラグを外して、その状態を確認した。画像のように各気筒の焼け方にバラツキがあり、特に3番シリンダーのプラグが白っぽくなっている。これは明らかに3番シリンダーに入る混合気が薄いことを示している。
 プラグを取り外した機会に、念のためすべてのプラグを新品に交換した。
 キャブレターをヨシムラTMR−MJNに交換してからはまだ3千キロほどの走行距離ではあるが、キャブレターをいったん外して点検してみることにした。
 キャブレターを取り外して、すぐに不具合の原因が判明。何と3番シリンダーとキャブレターを接続するインシュレーターが裂け、パックリと口を開いている。こうなっていれば、2次空気を吸って混合気が極端に薄くなり、バックファイヤーが発生して当たり前。特にバックファイヤーは車両火災をも招く危険なもの。
 もし今シーズンもこのままの状態で乗っていたら、どうなっていたか?日常点検の大切さを痛感した。
 取り外した古いインシュレーター。新車から9年も経っている部品なので、ゴムの弾力性が失われ、所々に細かい亀裂やゴムの変形が見られる。ノーマルキャブとエアクリーナーBOXを取り外してレーシングキャブに交換すると、キャブレターの重さをインシュレーターのみで保持することになる。経年変化やエンジンの高温によってゴムが劣化し、走行時にキャブレターが上下振動を繰り返しているうちに、キャブレターの重みを支えきれなくなって、このように裂けてしまったのだろう。
 いずれにしろ、インシュレーターを交換しなければ走行することはできないので、4気筒分計4個のインシュレーターを注文した。
 数日後、スズキのパーツセンターから届いた新品のインシュレーター。ゴム製の部品なのに、購入時の価格は1個1680円と意外に高く、計6720円の出費になった。

(使用パーツ)
・スズキ純正/13111-49200  パイプ、インテーク、ライト ×2個
・   〃   /13121-49200  パイプ、インテーク、レフト ×2個
 インシュレーターの取り付けにあたっては、キャブレーターのスゴビットとインシュレーター内部に段差ができないよう、先にキャブにインシュレーターを取り付け、その後にエンジンのインテークマニホールドにキャブと一緒になったインシュレーターを差し込んだ。新品のインシュレーターを差し込み易くするために、インシュレーターの入り口内部にラバーグリースを薄く塗って取り付けた。
 インシュレーターに負担がかからないように、タイラップを使ってフレームからキャブをつり下げ、キャブレターの重さを支えるようにした。
 以上の作業で、今回のトラブルは解決し、次のシーズンを迎えられるようになった。